数年前に時々耳にした《ベジブロス》という言葉。最近になって「野菜(vege)くずで煮出したダシ(broth)」のことだと知りました。野菜の皮・ワタ・ヘタなどを捨てずにとっておいて、まとめて煮出して作る植物性のおダシ。
料理研究家のタカコナカムラさんが、野菜に含まれるフィトケミカルを余すことなくいただく方法として、最初に提唱されたようですね。
それは面白そうだな~!と早速試したくなったのですが、私は普段から根菜の皮もブロッコリーの茎もしいたけの軸も、みんな一緒に食べてしまうのであんまり野菜くずが残りません(笑)。
それでも意識してみれば、
- 根菜のヘタやしっぽ
- トマトやきゅうりのヘタ
- きのこ類のいしづき
- たまねぎの外皮
など、ちょこちょこ集まるもの。それらで今回、初めてベジブロスを作ってみました!
ダシ要員なら、冷凍よりも乾燥で◎
一度にたくさんの野菜くずが集まらない場合や、時間がある時にベジブロスを作りたい場合は、野菜くずを冷凍しておきましょう!というのが通説。
でも、どうせダシをとるための野菜なら、冷凍するより干して乾燥させた方が、
- 植物の細胞壁が壊れるのでダシが出やすい
- カサが半分以下になって場所をとらない
- 常温保存できるので冷凍冷蔵不要
といいことづくめ。普段から干し野菜を活用している者としては、もう干すしかありません(笑)。
というわけで、日々の料理で出てくるこまごまとした野菜くずを、レンジの上に置いた干しザルに溜めていくことに。元々水分の少ない部位が多いせいか、干しかごにインしなくても自然とカラカラになってくれました^^
ちなみに
- アクとシュウ酸の多いほうれん草
- 加熱すると苦味が出る柑橘の皮
はベジブロスに不向きとのこと。逆に言うと、それ以外のほとんどの野菜や果物のくずが使えます。
残留農薬に関しては、「流水に30秒さらす」とか「重曹水に浸ける」などの意見もありましたが、私は農薬が気になる時はお米のとぎ汁ですすぐようにしています。とぎ汁の還元力って侮れませんからね……!
有機農法や自然栽培で作られた野菜なら、その心配もなく、より栄養価の高いベジブロスが楽しめますね^^
いざ ベジブロス作り……!
両手いっぱいほどの野菜くずを、1リットルの水で煮出すのがベジブロスの基本。干してカサが減っているので厳密にはわかりませんが、一週間で溜まった分をベジブロスにすることにしました。
小さじ1の料理酒を足すと臭みが消えるとのこと、私は冷蔵庫に常備している昆布酒を使用。今回は初めてなのであえて使いませんでしたが、昆布酒のなかの昆布を一緒に煮出しても良さそう♪
そして野菜の旨みを最大限引き出すには、沸騰までにできるだけ長い時間をかけること!!
なので使うお鍋や水は、冷たい方がいいんです。冷蔵庫で冷やす手間がかけられないなら、ひとつかみの氷を入れて、出来るだけ弱い火でスタート。沸騰直前になってから更に30分ほどじっくり煮出します。
完成したベジブロスの活用法
十分煮出し終えたところでザルで漉せば、ベジブロスのできあがり。野菜の旨みや甘みがしっかりわかる、優しいおダシになりました♡
紫キャベツのアントシアニンたっぷりでワイン色になってますが、これは想定内(笑)。
このベジブロス、おダシとして何にでも使うことができますが、今回はまずシンプルなスープに。刻んだ野菜をベジブロスで火を通し、塩麹と醤油少々で味を整えるだけ。
繊細な野菜ダシに、塩麹の柔らかな旨みがとてもよく合います。仕上げにお好みのオイルを垂らしても美味しいです^^
いつものお味噌汁にはもちろん、私は普段から残りものの煮汁でおからを炊くのが好きなので、次回はベジブロスのおから煮を試してみようと思います!
煮出したあとの「だしガラ」は……?
干して、煮出して、それでも残る野菜くずの「だしガラ」。普通はこのまま生ゴミ行きですが、私は非常時用に備えている、バイオトイレの土入りバケツに混ぜ込んでみました^^(まだ一度も用は足してませんのでご安心ください……)
バイオトイレ(コンポストトイレ)についてはこちらの記事をどうぞ。
この記事を書いた頃は、災害の直後だったこともあり、バイオトイレ熱も高まっていました。が、お恥ずかしながら、平常時が続くとまた意識が薄れてしまうのですよね……。
記事の終盤にも書きましたが、野菜くずを普段から分解させておけば、堆肥にもなるし非常時も慌てずに済みますね。ベジブロスを作ったあとの野菜くずなら、火を通しているぶん分解も早いでしょうし、よりバイオトイレ向きな気がします^^
ベジブロス作りがバイオトイレへの意識づけに繋がったのが、個人的には良かったなぁ♡
おわりに
ベジブロスをより美味しくエコに楽しむ方法をまとめておきます。
- 野菜くずは冷凍より乾燥で保存
- 農薬が気になるときはお米のとぎ汁の活用を
- 冷えた水や氷を使って低温&弱火でスタート
- 料理酒に昆布漬けておくとより美味しい!
- だしガラはバイオトイレやコンポストに^^
料理の味って、ちょっとした工夫の積み重ねで変わりますよね♪
野菜くずのような普段捨ててしまいがちなものに目を向けて活用する方法は、ベジブロス以外にもたくさんあります。
「捨てるのが当たり前」「買うのが当たり前」を少し疑って、違う視点を持つことは、気持ちや暮らしを豊かにする近道。ベジブロスもそのひとつの手段として、これから取り入れていきたいと思います^^