医師のいない助産院で、自分のチカラで子どもを産むということ

今日から第三子妊娠6ヶ月に入りました。胎動もちょこちょこ感じられるようになり、あーー今妊娠してるんだなぁ……と思うことも増えました^^

長女は横浜の助産院で、次女は今の自宅から徒歩圏内にある大阪の助産院で産んだ私。三回目となる今回も、前回と同じ助産院での出産を予定しています。

自然なお産がしたい!という人にとってはポピュラーですが、一般的にはあまり選択されない助産院。今お世話になってる助産師さんいわく、「助産院で扱われるお産の数は年々減っている」そう……。2013年の厚生労働省のデータによると、助産院での出産件数は全体のたった1%でしかありません。

助産院で産んで良かった!!と心から思っている私としては、あまり知られていない助産院の良さをもっとたくさんの人に知ってもらいたい。なので今日は助産院ってどんなところ? 普通の産科と何が違うの?を、つらつら書いてみたいと思います。

助産院には医師がいない。それって大丈夫……?

助産院の特徴としてまず挙げられるのが、《医師が不在》だということ。その代わりに助産師さんが、妊婦検診やお産、母乳相談など幅広く親身になって関わってくださいます。

助産師は看護師免許を取得した方が、更に1,2年専門機関で学んだ上で取得できる国家資格です。昔ながらの呼び名だと「お産婆(さんば)さん」ですね^^

え?お医者さんがいなくて大丈夫なの?と不安に思われるかもしれませんが、お産ってそもそも病気じゃないんですよね^^ (なので基本的には健康保険の対象外です!)動物の自然な生理現象なので、経過が順調であれば、本来お産に医師は不要なんです。

そうそう、私の祖母の世代くらいまでは、(特に地方では)自宅出産が当たり前だったよう。産気づいたら村のお産婆さんが駆けつけてくれて、鴨居から吊り下げた縄?紐?にしがみついたり、四つん這いになったりしながら、和室で子どもを産んだそうですよ^^

もちろん現代は、もっと安心です。きちんとした助産院は医療機関と提携していて、お産の真っ最中であっても、何かあれば医師の元に緊急搬送してもらえます。そのために、妊娠期間中に数回、提携先の医療機関での検診も義務づけられています。

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(2013.12 長女生後3ヶ月ころ)
ちなみに

  • 初産が高齢である
  • 多胎妊娠である
  • 持病がある
  • 血圧が高い
  • 不妊治療を経て妊娠した

などといった、いわゆる「ハイリスク出産」の場合は、そもそも助産院で産むことができません。この諸条件は助産院によっても少し違いますが、各院のホームページなどで確認できる場合もあります。

助産院で産む予定をしていても、途中経過で何か問題が起これば、その時点で転院が必要になる場合もあります。私も今のところは順調ですが、今回最終的に助産院で産めるかどうかはまだわかりません(笑)。

 

助産院のメリットって、何??

医師もいない、リスクがあれば転院や搬送の可能性もある……なのになぜわざわざ助産院を選ぶの?最初から産科でいいじゃん!と思ってしまうなかれ!(笑)助産院には助産院の良さがたくさんあるんです^^

私が長女出産時に助産院を選んだ理由は

  • 分娩台に乗ることなく、和室で好きな体勢で産める
  • 医療介入(会陰切開、陣痛促進剤の使用、吸引など)されない
  • お産をした部屋にそのまま入院できる
  • 完全母子同室

だったのですが、振り返ってみて感じる良さはそこだけではありませんでした。

  • 個別対応が充実していて、なにかと融通がきいた
  • 基本的に女性スタッフしかいない
  • 助産師さんと直接検診の予約日時を決めるので、基本的に待ち時間なし
  • 毎回の検診も、ゆっくり話をしながら30分ほど時間をかけてもらえた
  • ずっと同じ助産師さんが担当してくれるので、出産までに信頼関係が築けた
  • お産の最中や産後、精油やレメディなどを自由に使わせてもらえた
  • 和室なので、産後面会にきた家族もくつろげた(夫なんて横で新生児と一緒に昼寝してた・笑)
  • 手作りのご飯がとても美味しかった!!
  • 産後も母乳のことで気軽に相談ができた

など《とにかくアットホームで安心して過ごせた》んですよね^^ 出産時の痛みはもちろんですが、出産直後なんて満身創痍だし、とにかく身体を休めたい……。

そんな時に、旅館の一室のような和室で裸足で寝起きし、手作りの美味しいご飯を食べ、お母さんのような助産師さんが泊まり込みでいつでも親身になってお世話をしてくれる……。そういった環境に、どれほど心身が癒されたことか!!! ま、私は産科で出産したことがないので、厳密な比較はできないのですが(笑)。

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(長女を産んだ、助産院の部屋。洗面台は部屋の中にありました^^)
あと、助産院を選ぶ理由としてよく耳にするのが「上の子をお産に立ち会わせたいから」というもの。普通の産科の分娩室内には医療機器があり危ないため、子どもの立ち入りはできないことが多い様子。

私が次女を出産したとき、長女はまだ2歳だったので特に検討しませんでしたが、今回は出産時、5歳。本人も興味があるようなので、タイミングが合えば立ち会わせてみようかな?と思っています。

そういえば横浜の助産院では、国際結婚のカップル率も高いって言ったっけな……。具体的な理由まではわかりませんでしたが、お国柄や信仰によって色々な事情があるのかもしれませんね^^

初産で助産院を選んだときのこと

ここからは私の体験談です。第一子である長女の妊娠が発覚したのは、夫の仕事の都合で大阪から横浜市内に引っ越した直後でした。検査薬で陽性反応が出たのが、引っ越しの業者から荷物が届いた数日後……くらいのタイミング!!

うわ、すぐに病院に行かなきゃ!と思ったものの、まったく土地勘がありません。「横浜市 産婦人科 人気」「横浜市 産婦人科 口コミ」などのキーワードで検索しまくり、情報収集する私。この時点で助産院という選択肢は、まだまったく頭に浮かんでいませんでした。

この時困ったのが、産婦人科の住所リストを見ても、自宅から近いのか遠いのかさっぱり見当がつかなかったこと……。当時神奈川区に住んでましたが、隣が何区なのかも、自宅が神奈川区内のどの辺にあるのかもわかりませんでしたから(笑)。

 

それでもなんとか、バス1本で通えて、かつ地域で人気の高い産婦人科を選定! 初診は予約が出来ず、朝の開院時刻に合わせて不慣れな土地の見知らぬ産婦人科に、不安なまま足を運びました。

その産婦人科は本当に人気があるようで、早い週数の段階でないと分娩予約がとれないとの噂。初診で「妊娠確定」の診断をいただき、そこで産むつもりでその日のうちに予約金3万円を納め、病院を後にしました。

助産院という選択肢を真剣に検討し始めたのは、その後のこと。それまでもやや自然派寄りな生活をしていたので、医療介入は最低限にしたいなーとか、豪華過ぎない素朴な入院食が食べたいなーといった希望はありました。

初診で伺った産婦人科もそこはクリアしていたのですが、唯一引っかかっていたのが「分娩台での出産になること」……。うーーん、あの体勢で力むのはなんか抵抗があるんだよなぁ……。

そんな時に本屋で出会ったのが、この「母になるまでに大切にしたい33のこと」という一冊の本でした。

愛知県岡崎市にある「吉村医院」の院長、吉村正先生のお話をまとめたこの本。吉村医院の名前は、当時の私もどこかで聞いたことがありました。

妊婦さんたちが囲炉裏のある古民家で共同生活をし、薪割りや農作業などでしっかり体作りをして、スポーーンと赤ちゃんを産むという《自然派出産の聖地》のような場所。「玄牝(げんぴん)」というドキュメンタリー映画の舞台として知った人も多いかもしれません。

 

この本を読んで、

  • お産の本質って何なのか
  • 自分の力で産むってどういうことなのか
  • 女性性とは何なのか

……といったことについて、すごーく考えさせられた私。そして「やっぱり分娩台の上じゃなくて、自由な姿勢で産んでみたい!」「自分のチカラで産むってことに、挑戦してみたい!!」と思い、そこから改めて助産院探しを始めたのです。

前述の通り土地勘がないので、これまた結構大変でしたが、幸いなことに乗り換えなしでバスで30分、という横浜市鶴見区にとわ助産院を見つけることができました。最初はホームページからメールで問い合わせ、一度見学にお伺いし説明を聞き、ここで産もう!と……。

多くの助産院では、妊娠3ヶ月くらいまでは提携先の医療機関での診察を求められます。私も初診のあとに1度か2度、元の産婦人科に通い、最後に助産院宛の紹介状を書いてもらって妊娠4ヶ月目から助産院通いを始めました。

一度は分娩予約までした産婦人科に「転院したいので紹介状を書いてください」と言い出すのは少し勇気がいりましたが、元々人気のある医院だったこともあってか、特に引き止められることもなくスムーズでした^^ 予約金3万円はちょっともったいなかったですけどね(笑)。余談ですが、その予約金を差し引いても、助産院での出産費用の方が安かった……!

助産院出産は魅力的! でも気をつけたいなと思うこと

幸い私は夫にも両家両親にも、助産院で出産することに対して何か言われることはありませんでした。ですがネット上には「助産院での出産を家族に反対された」といった意見も見られます。医師がいないということで、不安になる家族の気持ちもわからないでもありません。

また、自然派志向の人のなかには「自然なお産」にこだわり過ぎるあまり、状況が悪化しても医療機関への転院を拒んでトラブルになるケースなどもあるそう。何事もこだわりが強すぎて他の選択肢を自ら失くしてしまったり、周りとの軋轢を生んでしまうのはかえってマイナスです。

大事なのは、理想のお産を追い求めることではなく、周りに応援されつつ母子ともに元気に出産を乗り越えること!!! お産の方法に、優劣なんてありません。特に産後は、家族のサポートがとても重要ですしね^^

 

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(2013.07 長女妊娠8ヶ月、若い!!笑)
私も吉村先生の本を読んだ直後などは、鼻息荒く「自然なお産をするぞー!!」と思っていましたが、ちょっと肩にチカラが入り過ぎてたかな……なんて今になって思うくらい(笑)。

あと……物理的な問題として、自宅から通える距離に助産院がない!というケースもあります。北海道なんて、あれだけの広さがあるのに、札幌市外で入院分娩を扱ってる助産院はたったの2件ですから……!

《全国の助産院一覧》

例え助産院での出産が叶わなくても、

  • 「院内助産院」が併設されている
  • 陣痛〜分娩〜入院までを同室で過ごせる「LDR」が可能
  • 好きな姿勢で産める「フリースタイル出産」が可能
  • 上の子の出産立ち会いOK
  • お産に関する希望を聞いてくれる「アクティブバース」対応

など、様々な選択肢がある産婦人科も増えていますしね^^

色々書いてはみましたが、逆に言うと若くて母子ともに健康そのもの!通えるところに助産院もある!!のであれば、ぜひぜひ助産院の門を叩いてみてください。きっとお産が素敵な想い出になるのではないかと思います♡

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(とわ助産院で、退院前夜に出された「お祝い膳」♡)
最近はいわゆる「ハイリスク出産」の割合が増えていますし、深刻な産科医不足も叫ばれています。元気な妊婦さんが積極的に助産院を選択することは、そういった問題の解消にも繋がるのでなないかなぁ……。

《全国の助産院一覧》

おわりに

一部の人にしか知られていないであろう、助産院の良さ。ですが、母子ともに順調でなければここでは産めません。

「《お医者さんや助産師さんが産ませてくれる》のではなく、妊婦の自覚をしっかり持って《自分のチカラで産み落とす》んだ!」という意識が自然と芽生えるのが、助産院出産の一番いいところかもしれません。

時々「助産院って、助産師さんが(食事指導や身体づくりに関して)めっちゃ厳しいんでしょ?」と聞かれたりもしますが、私がお世話になった2箇所の助産院の方々はとても優しくて親切でしたよ! そこはもう、個人差の範疇、なのかなと……(笑)。

私もまた助産院で元気な子を産めるように、体力つけたり身体をいたわったりしながら、妊婦生活の後半を楽しみたいと思います^^

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この記事を書いた橘花(kikka)ってこんな人