「この写真、なんかイマイチ……」その原因は《形の歪み》かもしれません

「早速アプリ、ダウンロードしました!」「これなら私にもすぐにできます!」とご好評いただいた【写真の撮説(トリセツ)】。

前回はアプリ《Snapseed》を使った2つの加工についてでした!
第二弾の今回は《形の歪み》についてです。美味しそうな料理や可愛い雑貨などを撮ったとき「モノは素敵なのに、なんで私の写真は素敵じゃないんだろう……」と思ったことはありませんか? その原因は、この《形の歪み》にあるかもしれません。

形が歪んだ写真って?

あまりに見慣れすぎていて、歪みの存在に気づいていない方も多いのですが、例えばこのハーブティーの箱。お手持ちのスマホで何気なく撮ると、こんな形になることがよくあります。

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この箱は「直方体」です。向かい合ったそれぞれの「辺」は「平行」になっているはずですが、この写真はどうでしょうか。上に向かってラッパのように開いていて、写真右端の辺と左端の辺は、とても平行であるとは言えません。これが《形の歪み》です。

形が歪まないように、「ある工夫」をして撮った写真がこちらです↓

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スマホで撮っていますし、歪みがまったくないわけではありませんが、先ほどの写真と比べると随分違いますよね。並べてみるとこんな感じです↓

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この歪みが、写真の「素敵!」「可愛い!」「美味しそう!」などを邪魔していることがよーーくあるのです……!

 

なぜそもそも写真は歪むのか?

普通に撮ったはずなのに、なぜこんなに形が歪むのか。その理由をごく簡単に言うと「カメラについているレンズが、曲面を描いているから」です。レンズの役割は「光を集めること」。虫眼鏡を思い浮かべてもらうとわかりやすいと思いますが、凸レンズは光を効率的に集めるために、真ん中が厚くフチが薄くなっています。

そこに撮りたいモノを写し込んで撮るということは、例えるならスプーンの背中部分やパチンコ玉にモノを写し込むのと同じこと。乱暴に言えば、形が正しくなる「はずがない」んですよね。

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この写真を見れば、レンズとモノの距離が近ければ近いほど、歪みが大きくなることも想像がつくかと思います。

形の歪みを抑えて撮る方法

ではどうすれば、歪まないように撮ることができるのでしょうか。先ほど《レンズとモノの距離が近ければ近いほど、歪みが大きくなる》と書きましたが、それは裏を返せばレンズとモノの距離が遠ければ遠いほど、歪みが小さくなるということでもあります。

つまり、モノから離れたところでカメラを構えれば、(レンズの曲面に由来する)歪みはなくなるということ。ですがモノから離れれば、当然「写真に対するモノの大きさ」は小さくなりますよね。それをリカバリしてくれるのが「ズーム」なんです……!

スマホカメラの場合だと、撮影画面に2本指を置き、その指を開くとズームができますよね。先ほどの2枚の写真は、Beforeが《ズームを全く使わず、モノに近づいて撮った写真》で、Afterは《ズームを最大限使って、モノから離れた撮った写真》なんです^^

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写っている箱の大きさがだいたい同じになるように、Beforeは箱から数センチのところで、Afterは箱から1メートル以上離れたところから撮っています。

今回はわかりやすいようにズームの端と端で撮り比べましたが、ズーム位置を真ん中くらいにすれば、歪み具合もこの2枚の中間くらいになります^^ 毎回後ろに下がって撮れるとは限らないので、適宜調整してくださいね。

ズームを使うときの注意点

ここまで読んで、おお!ズームって実はすごいんだ!!と驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、2つほど注意点があります。

まず1つめは、ズームで拡大すればするほど、手ブレが起こりやすいということ。そもそも手ブレはなぜ起きるのか?についてはまた改めて解説しますが、高倍率のズームほど、手元の些細な動きまで拡大してしまうんですよね。

顕微鏡や望遠鏡を使ったことがある人なら、高倍率であればあるほど、手元のちょっとした動きが視野を大きくブラしてしまうことが、感覚的にわかるかもしれません。なのでズームを使うときは、とにかくカメラを持つ手をしっかり固定して動かさないこと、これに尽きます。

そして注意点の2つめ。これはほとんどのスマホカメラで採用されている《デジタルズーム》の特徴でもあるのですが、デジタルズームでは拡大すればするほど、写真の画質は落ちます

一眼レフやミラーレス一眼などの「ズームレンズ」が持つ《光学ズーム》とは異なり、スマホの《デジタルズーム》は画像をただ引き伸ばして拡大しているだけ。つまり撮影後に画像をトリミングするの全く同じことなんです。今回のAfter写真もデジタルズームを最大限使っているので、よく見ると結構画質が粗いです。

なので実は、スマホカメラで撮影する場合は

  1. モノから離れた場所で、「引き」で小さく撮っておき
  2. 後からゆっくりトリミングでサイズ調整をする

方が、手ブレも起こりにくく簡単だったりします^^

もうひとつの歪みの原因は「撮る高さ&カメラの角度」にあり!

ここまでは《カメラとモノの距離によって発生する歪み》について書きました。が、形を正確に撮るうえで距離と同じくらい大事なのが、カメラをどんな高さで、どんな角度で構えるか?ということ。

背の高いモノの方が違いがわかりやすいので、夫が故郷・飛騨高山で運営しているhitosaji(ひとさじ)のビオエゴマオイルのボトルを使いました^^

まずはこの写真。ボトルのキャップくらいの高さから、少しボトルを見下ろすような角度でカメラを構えて撮ったものです。

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先ほど《レンズとモノの距離が近ければ近いほど、歪みが大きくなる》と書いた通り、レンズに近いキャップ部分が大きく歪んでいます。そしてレンズから遠い底部分は逆にすぼみ、頭でっかちで不安定な形になっています。

この歪みを解消するために、えごまのイラストくらいの高さまでカメラをグッと下げ、瓶と平行になるようにスマホを構えて撮ったものがこちら↓

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カメラをえごまのイラストくらいの高さにしたのは、そこが瓶の高さのちょうど半分くらいだから。そうすることで、一番高いキャップまでの距離と一番低いの床までの距離がだいたい同じになり、より正確な形に写すことができるのです。低すぎると、それはそれで歪みますからね^^

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さっきのBefore→Afterより違いがわかりやすいかもしれませんね。

でもこのAfter、モノから近い距離のままで撮っているので、完全に正確な形ではありません! カメラの角度や高さに気を配りつつ、本当は更に一歩下がって離れて撮ると尚良しです。

そうそう……スマホカメラは、スマホのかなり端っこにレンズがついているので、モノが小さいときほどカメラを下げるのに限界がきます。そういう時は、思い切ってスマホを逆さまにして撮ってみましょう!! 床面ぎりぎりの高さにレンズが来るため、簡単にローアングルの写真が撮れますよ^^

ここではモノを撮り比べましたが、人を撮るときも気をつけるべきことはまったく同じです!! 「鏡で見ている顔となんか違う」とか「もうちょっとスタイル良いはずなのにな……」なんて時は《形の歪み》に意識を向けてくださいね。

おまけ:Snapseedで微調整も!

前回の【写真の撮説(トリセツ)】でご紹介した、Googleが開発した画像加工アプリ・Snapseed。このSnapseedで《カメラの高さや角度による歪み》を、多少補正することができるので併せて紹介しておきます。

まずは加工したい画像をアルバムから開き、【ツール】→【射影変換】を選択します。

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今回は上下方向の歪みを微調整したいので、操作画面を上に向かってスワイプすると……

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こんな感じで歪みが「見た目上」少しマシになります。が!!これはあくまで撮影時に気をつけて撮ったうえでの微調整用です。この方法で本当に正しい形になるわけではないので、ご注意くださいね!

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もはや違う形の瓶に見えますよね……(笑)。なのですが、いざという時に知っているととても便利で助かる機能なんです! やっぱりSnapseedは最強ですね^^

Snapseed

Snapseed

  • Google, Inc.
  • 写真/ビデオ
  • 無料


写真の撮り方の講演をします

ここからは前回と重複しますが、この記事に書いたような写真の撮り方に関することを、7/31開催の《母と子の癒やしフェスタ》というイベントでお話しします!

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イベントのテーマに合わせ《親子で楽しむスマホ写真講座 〜いつものスマホで子供の笑顔をもっと可愛く!〜》をタイトルにしていますが、お一人様でもお子様連れでも、どなたにでもご参加いただけますので、お気軽に♡♡

講演内容

せっかくの可愛い笑顔が、なぜうまく撮れないのだろう? ママの素朴なその疑問に「専門用語を使わず」わかりやすくお答えします。ちょっとしたコツで、スマホ写真がびっくりするほど素敵になりますよ。

  • 写真をワンランクアップさせるために必要な「基本のき」
  • 子どもの自然な表情を残すために、意識したい4つのポイント
  • スマホアプリを賢く使って、楽しく安全なフォトライフを!

など、今日からすぐに使える実践的な内容です。

講師プロフィール

上田涼子(kikka)

フォトグラファー/ライター/SNS広報コンサルタント

10〜70代と幅広い年代のクライアントを持ち、同業者の受講や企業・行政機関での講座開催実績も多数。特に写真講座での「専門用語を使わない分かりやすい説明」には定評がある。自然派ワーキングマザーのライフハックブログ《スマートナチュラル・ドットライフ》管理人。2児の母でもあり、現在、4歳と2歳、二人娘を放牧育児中。

イベント詳細

今回はセミナーではなく講演会形式。スライドを使って、楽しくわかりやすくお話しさせてもらいます!

《母と子の癒やしフェスタ》とは……

今回登壇させていただくこの《母と子の癒やしフェスタ》、主催者はアメーバ公式ブロガーであり元カリスマ占い師の守田矩子さんとカイロンスクールさんです(画像をクリックすると拡大します↓)。

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胎内記憶や、出生前記憶、前世の記憶を持つ子どもたちへのインタビューで構成されたドキュメンタリー映画《かみさまとのやくそく》の上映会が午前中にあり、その後荻久保則男監督のトークショーがあり……。

一日中、そうそうたる講師の皆さまが講演をされるなか、私もご縁あって一枠いただいております。イベント全体については下記サイトも、ご覧くださいね。

▽矩子さんが書いてくださった、私の紹介記事はこちらから▽人気絶頂で矩子さんが占い師を引退されたわけとは……

矩子さんとはキンコン西野さんのオンラインサロンを通じてのご縁ですが、いつも周りのことを心から考え、真摯に行動されているお姿に刺激をいただいています。このブログでバイオトイレ関連の記事が書けたのも、矩子さんのお陰です。

なんとか子どもを預ける段取りがついたので、私もこの日は一日イベントを楽しませてもらおうと思っています^^

一人でも多くの方の、イベントへのご来場をお待ちしております!!

おわりに

今回は写真における《形の歪み》にフォーカスして記事を書きました。この内容はたーーくさん写真講座を開催してきたなかでも、特に多くの方に驚かれたり喜ばれたりしてきたものです。

それくらい、パッと見では原因も対策もわかりにくいものなのでしょう。この記事を読んでほほーーっ!と思われた方はぜひ、目の前にあるモノをこの方法で撮り比べてみてください。

習うより慣れよ、実際にやってみるのが何よりも近道ですから^^♪

 

【写真の撮説(トリセツ)】第一弾!!モデルになったハーブティーはiHerbで買ってます♡ 

この記事を書いた橘花(kikka)ってこんな人