米麹のチカラで小豆を糖化させれば、それだけであんこになる……?! 「小豆麹」「発酵あんこ」「発酵小豆」「小豆甘酒」など様々な呼び名を持つこのレシピを初めて知ったとき、目から鱗がボロリと落ちました。
これまで発酵のレシピを目にして、何度こういった気持ちになったことでしょうか(笑)。
自分で一度作ってみると痛感しますが、一般的なあんこ作りに使う砂糖の量の多さたるや......!その罪悪感を感じることなくあんこを楽しめるなら、ありがたいですよね^^
【2023.04追記】
この記事をアップして早5年!更なる試行錯誤を経て、レシピをアップデートしました^^
最初は甘くならず、失敗……
あるサイトで初めて目にした発酵あんこのレシピはとってもシンプル。柔らかく炊いた小豆に、同量の米麹を混ぜて、麹甘酒を作るのと同じように保温するというものでした。すぐに「これは試さねば……!」と思い、小豆が手に入り次第すぐに作ってみたのですが、正直この時はあまり上手く出来なかったんですよね。汗
同じ麹を使うのだからと、麹甘酒と同等の甘さを期待していたのですが、比べると全然甘みがない。保温時間を数時間延ばしてみたりもしましたが、あまり変化もなく……。
良く言えば「自然な甘み」。でもこれをあんこと呼ぶには、あまりにも物足りないような……とちょっとガッカリした気持ちのまま、ブログに書くこともなくネタを放置していました。
でも《砂糖なしで作れる発酵あんこ》、このまま諦めるのはイヤだーー!!と思い、より簡単な方法で再度挑戦してみました。
発酵あんこ、二回目は炊飯器任せで成功!
前回は某サイトのレシピ通り、一度渋きり(アク抜き)をして、その後鍋で炊いて……ということをしたのですが、そこももう端折っちゃえ!と我が家の圧力IH炊飯器頼みで、こんな手順で作ってみました。使う材料は、小豆と米麹、あとは水と少しの塩だけ。
- 乾燥小豆1合を、さっと水洗いして炊飯器のお釜へ
- 白米2合炊きのラインまで水を入れる
- 「玄米熟成モード」で炊飯スイッチオン(表示所要時間は135分!)
- 炊き上がった小豆を、粒のカタチがなくなるまでブレンダーにかける
- 米麹1合と塩ふたつまみを入れ、しゃもじでよく混ぜる
- お釜の上にふわっと手ぬぐいを被せ、保温スイッチをオン
炊飯器の蓋は閉めず、そのまま12~14時間保温
(ヨーグルトメーカーの場合は55〜60度に設定して保温開始) - 数時間に一度全体を撹拌し、表面がパサついていたら少量水を加える
で、めちゃくちゃ美味しい発酵あんこができたんです……!お鍋も火も使わない、やっつけ半分な方法なのに! べったり残る甘さではなく、小豆の風味がよくわかる、すっきりした甘さが特長です^^
発酵あんこ(小豆麹)の失敗、原因と対策
これまで「発酵あんこを作ってみたけど全然甘くならなかった」という話を何度も耳にしてきました。ここではその失敗の原因と対策についてまとめてみます。
小豆が固かった
私のファーストチャレンジ含め《普段から炊飯器で麹甘酒を作り慣れている人》の失敗は、このケースが多いかもしれません。
小豆の表面を覆っている皮は食物繊維で出来ており、とても固いです。米麹の持つ酵素はこの皮を分解することができないため、小豆をしっかり柔らかく煮たあと、更にブレンダーで細かくすることで酵素を働かせやすくしましょう。
麹甘酒づくりでも、使うご飯を白米ではなく玄米にすると甘みが出づらくなるのと同じ現象ですね^^
小豆麹の甘みは小豆の炭水化物が米麹の酵素によって分解され、糖に変化することで生まれます。食物繊維の鎧は、その妨げになってしまうのです。
私は《玄米熟成モード》で時間をかけて小豆を炊いていますが、こういったモードがない炊飯器の場合は二度炊きするといいですね^^
熱いうちに米麹を混ぜてしまった
米麹が持つ分解酵素は約70度でそのチカラを失います(失活)。炊きあがったばかりのアツアツの小豆にいきなり米麹を混ぜ込むと、この失活が起きてしまう可能性があります。
なので煮上がった小豆に水を混ぜ、ブレンダーにかけている間に温度を60度前後まで下げましょう。少し面倒ですが、温度計で確認すると安心ですね。
温度を一定に保てていなかった
米麹が持つ分解酵素が、最もチカラを発揮する温度帯は55〜60度です。これより温度が下がると酵素の働きが鈍る → 何時間保温してもなかなか甘くならない、ということが起こり得ます。
炊飯器やヨーグルトメーカーなど、加温機能がある器械を使えばその点とてもラクですが、魔法瓶など《保温するだけ》の容器では温度はゆるやかに下がり続けます。数時間ごとに温め直すことも出来ますが、やはり最適温度をずっとキープするのに比べると効率は悪くなりがちです。
なので甘酒作り同様、最大限に甘みを引き出したいなら、加温機能つきの器械を使うのが手っ取り早いです!
水分が少なすぎた(2023.04 追記)
米麹が持つ、炭水化物を糖に分解する酵素(アミラーゼ)の働きは《加水分解》と言い、反応に水分を必要とします。そのため煮上がった小豆がパサパサしている状態だと、酵素がうまく働きません。
水を入れすぎるとドロドロになってしまいますが、撹拌したときに表面に「濡れ感」が出る程度には水分補給をしてあげてください。
もし水が多すぎたなと思う場合は、炊飯器やヨーグルトメーカーの蓋を空けたまま、更に数時間保温することでゆっくり水分を飛ばすことも可能です^^
発酵あんこの楽しみ方
保温が終わったあとそのまま食べるのもいいですが、私はもう一度ブレンダーにかけて米麹の粒をなくしてから使うのが好みです。
一般的なあんことは作り方が異なるので、この状態で「つぶあん」と「こしあん」の中間くらいの食感でしょうか。
ちなみに愛用ブレンダーはブラウン製。随分前に買ったので、全く同じ機種はもうありませんが、付属品の種類はこれと一緒。
発酵DIYをやっていると、使う場面が少なくないブレンダー。発酵好きの間でも「買うなら馬力のあるブラウン製!」という意見がよく出ます^^ (青しそフレーク作りには、このブレンダーのチョッパーを使ってます!)
発酵あんこを、娘たちのおやつ用に常備している「五穀ぽんせん」に塗ったらこんな感じ。ぽんせんの塩味と、小豆麹の甘さが絶妙なハーモニー……♡♡
白玉だんごにも合うし、パンケーキ生地の間に挟んでどら焼き風もいい。名古屋界隈の人ならトーストに塗りたくなるかも(笑)。我が家の朝食でも、発酵あんこトーストは好評です。甘すぎないので、スイーツとしてだけでなく、惣菜のように使えるのもいいですね!
もう少しキリッとした甘みが欲しいな〜ってときは、この発酵あんこに少しの蜂蜜やメープルシロップを少量混ぜて使うこともあります。ベースがノンシュガーなので、少々加えたって罪悪感を感じる必要はなし!!(笑)
凍らせれば◯村屋のあずきバーのような味が楽しめますが、甘酒は凍らせてもカチカチになりません。アイスキャンデーというよりは、製氷皿で一口サイズにするか、すくって食べるシャーベットにするのがおすすめです。
こんなに美味しいあんこが、砂糖いらずで火も使わずに作れるなんて。発酵って、つくづく面白いですねぇ♡
▼豆乳ヨーグルトも簡単に自家製できます!▼日々のお米の使い方も、見直してみると面白い♪